橋本幹造料理長と初めてお会いした時の記事です。2015.4.20
橋本料理長との最初の出合です。
素敵な出会いを頂きました。
いま「糸島」グルメがアツい! 〜「一期一味糸島定食」ができるまで〜
伊勢丹新宿店で、密かなブーム
納豆嫌いな人にも好評で、ご飯が止まらなくなる「金山寺納豆」に、若手野菜生産者と熟練漬物屋のコラボレーションで生まれた「金時人参の粕漬け」。それに、荒波のなかを生きる玄界灘の海産物など、いま伊勢丹新宿店の食品フロアでは、福岡県・糸島産製品が数多く取り扱われています。
そんなプチブームの様相を呈しているワケを、それぞれの担当バイヤーに訊くと「意識して集めたのではなく、バイヤーがそれぞれ取り引きしていただけ」。同じタイミングで複数のバイヤーが特定の小さなエリアに注目するのは、とてもめずらしいことだそう。
そんな食の逸品を多く産み出す糸島へ、『ミシュラン東京2012』から二ツ星を獲得し続けている<日本料理店 一凛>の橋本幹造料理長(写真1枚目右下)が旅に出ました。
橋本料理長、糸島に挑む
福岡空港から車で40分、北の玄界灘と南の脊振山系に囲まれた糸島半島。海岸部には木製の立体式塩田も見ることができ、ナチュラルライフを求めた移住希望者の注目が高まっている土地です。
橋本料理長の旅の目的は、糸島の素晴らしい大地と人が育んだ食材を利用して、ひとつの料理を組み上げること。なにしろ、伊勢丹のバイヤーは、食の達人ばかり。そんな彼らが自然と惹かれる糸島という素材に、料理人としての腕が鳴ったようです。
糸島のオカンはすごい
まず、訪ねたのは糸島のオカンとして、現地の若手生産者たちにも慕われる<惣菜畑がんこ>の柚木マスミさん。「金山寺納豆」の生産者です。そんな彼女が、糸島産の食材を使って、橋本料理長にごちそうを振る舞ってくれました。
「食材の特徴をこんなにも捉えたオカンはスゴい」。
土地のものをよく知った人がつくる料理に、二ツ星のシェフも感服したよう。そんな姿を見て、柚木さん(写真中央)を慕う若手生産者のひとり、<おき農園>の沖祐輔さん(写真左)も満足気です。
ニュージーランドで農業の修行を積み、3年前より糸島に移住してきたばかりの沖さん。彼がつくる金時人参は、漬物屋<かぶらや>で粕漬けにされ、こちらも伊勢丹新宿店の食品フロアで注目されています。ふたりのつくるものを味わった橋本料理長、なにかインスピレーションを得た様子。
これは料理のメインになる
次に訪れたのは、アジやエボ鯛、カマスなどの干物が好評の<福吉水産>。その人気の秘密を探りにきました。
「丁寧な仕事、鮮度のよさが一目瞭然!」
<福吉水産>の作業場に入るなり、目を輝かせた橋本料理長。初対面なのに、社長の釘本伊勢光さん(写真左)との話も弾みます。「干してから漬けたら味が染み込む」という料理長の要望に、釘本社長も「おいしさに繋がるなら」と快諾。どうやら、新しい料理のメインの皿が見えてきたのでしょう。
そして、「一期一味糸島定食」が完成
上質な活きた日常が糸島にはあることに気づき、旅行中に思わず「住みたい……」と何度もつぶやいていた橋本料理長。糸島のやさしくも快活な風土を表すには、”定食”がよいと判断しました。それが、個性豊かな生産者による食材と、橋本料理長の独創的な仕掛けが融合した「一期一味糸島定食」(写真1枚目)です。
【付合わせ】金時人参 ふきの粕漬け、わかめと玉ねぎの飲む酢、たくわんの梅煮、ひじきの茶わん蒸し
【御飯】ご飯 【椀】麦みそ豚汁
【メイン(選択)】鰆の粕漬け 粉醤油と金山寺納豆、または太アスパラのお揚げ巻 粉醤油と金山寺納豆
糸島での出会いがそのまま凝縮された、この定食。ひと皿ひと皿、じっくり味わうことで、糸島の海風が口のなかに広がるよう。伊勢丹新宿店の食品フロア「キッチンステージ」で、3月4日(水)から3月24日(火)まで、堪能することができます。一人前2,401円。
※「FOODIE」2015年3月号掲載の再編集記事です。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。